COLUMN コラム 「受託の窓口」に関する情報を発信

2024.05.13

【シングルセル解析をわかりやすく解説】メリット・デメリットや基本的な原理とは

検体中に含まれる細胞や微生物の全体ではなく、その一つ一つのゲノム情報や機能等について解析・比較したいという場合には、シングルセル解析という手法を用いるのがおすすめです。 そこで今回は、機器やアプリケーションのご案内・ご提供を通して研究現場のお困りごと解決を支援するミクセルが、シングルセル解析についてわかりやすく解説するとともに、新しいシングルセル解析サービスである「微生物シングルセル」についても紹介していきます。 シングルセル解析の基本的な手法や原理はもちろん、メリット・デメリットや活用が期待できる研究分野などについても紹介していくので、研究にシングルセル解析の活用を検討中という方は、ぜひ参考にご覧ください。

シングルセル解析とは?わかりやすく解説

シングルセル解析とは?わかりやすく解説
シングルセル解析とは、検体中に含まれる細胞や細菌等の微生物をシングルセル(single cell)、つまり細胞ごとに単離してゲノム情報や機能を解析し、データを得る手法のことです。

例えば生物の細胞を解析する場合には、主にタンパク質やメッセンジャーRNA(mRNA)の発現量を細胞ごとに測定したり、機能発現の違いを生み出す細胞の個性、不均一性などを調べて記録する際等にシングルセル解析を行います。またシングルセル解析では、個体内での多様性が特に大きいとされる免疫グロブリン等のタンパク質の配列についても、その違いを細胞ごとに解析可能です。

一方で微生物の解析をする際には、主に疾患や代謝に影響を及ぼす種類の特定、未知の微生物の探索や、近縁種と考えらえる微生物の違いを株レベルで見分けたい場合などに、役立つ手法と言えるでしょう。

なおシングルセル解析が普及する前は、細胞の解析には「バルク解析」が、また微生物の解析には「ショットガンメタゲノム解析」が、主流な解析手法として用いられてきました。

バルク解析とは 検体中の細胞集団(バルク)をまとめてすりつぶし、その全体平均のデータを取得して研究に役立てる解析手法。
ショットガンメタゲノム解析とは 検体中の微生物叢からバラバラの状態で全DNAを取得し、断片的な情報を組み立てながらデータを取得する解析手法。

しかし、上記のような従来型の解析手法では、特異な細胞や遺伝子の異常、違いまでは見極めることができません。

そんな中、技術の進歩に伴い細胞に多様性があることが明らかになると、全体や断片から得た情報ではなく一つひとつの細胞を調べる必要があること、またその重要性が知られるようになり、シングルセル解析の手法が確立されました。そしてシングルセル解析は、さまざまな研究分野で有用な解析手法の一つとして、広く普及していったのです。

【関連記事】プロテオーム解析・プロテオミクスとは?意味や手法について解説

シングルセル解析のメリット・デメリット

シングルセル解析の概要や特徴がわかったら、ここからは、シングルセル解析という解析手法のメリット・デメリットを、わかりやすく箇条書きで紹介していきます。ご自身の研究にシングルセル解析を採用するべきか否かを決めるための検討材料として、ぜひご確認ください。

シングルセル解析のメリット

  • 個性や遺伝子発現の多様性、死滅するまでの変化などを細胞ごとに確認できる
  • 各種の微生物が持つプラスミドやファージ情報なども、菌の種類・名称と紐づけて解析できる
  • 培養が難しい細胞や微生物であっても、従来法に比べ精緻な解析情報を得られる
  • DNAが少ない、またDNAの多様性に富んだ検体であっても、効率的な解析が可能

シングルセル解析のデメリット

  • 1度に解析できる細胞・微生物の量に限りがあるため、検体に含まれるDNAや菌叢全体の情報を正確にカバーするのは難しい
  • 獲得したいデータや予算、条件等により、適切なプラットフォームを選ぶ必要がある

シングルセル解析の大まかな手順・原理について

シングルセル解析の大まかな手順・原理について

今後、ますます研究現場でのニーズの高まりが予想されるシングルセル解析には、現在さまざまなプラットフォームが存在しています。このうちミクセルでは、特に微生物のシングルセル解析を検討中の研究者様に向けて、bitBiome(ビットバイオーム)株式会社のbit-MAP(ビットマップ)をご提案・ご紹介しております。

bit-MAPは、近年になってから登場した比較的新しい「微生物シングルセル解析」の手法です。

ここからは、培養不要で微生物の細胞を個別に、かつ網羅的に解析できるbit-MAPの場合を例に、シングルセル解析の大まかな手順・原理について見ていきましょう。

bit-MAPによるシングルセル解析の手順は、以下の通りです。
※ bit-MAPはbitBiome株式会社によって商標登録されたサービスの名称です。

  1. マイクロ流体デバイスを使い、数万個の微小なカプセルを作製する
  2. 検体中の微生物叢サンプルから各細胞を分取し、カプセルに閉じ込めて単離する
  3. 反応チューブの中にカプセルを集め、試薬を順次添加することによって微生物を溶解、さらにDNAの抽出やゲノム増幅等の多段階の反応を精密に制御しながら実施する
  4. ゲノムが増幅されたカプセルだけをウェルプレート上に分取し、シングルセルゲノムライブラリーを構築
  5. 数百~千の微生物ゲノムの配列情報を、次世代シーケンサ(NGS)を使って個々の細胞レベルで高精度に解析
  6. NGSで得られた生リードを繋ぎ合わせ、コンティグを作製する
  7. 6で得られたゲノム情報を統合し、それぞれのドラフトゲノムを構築・評価する
  8. 個々の微生物のゲノム情報をもとに、遺伝子や機能を詳細に分析・同定していく

シングルセル解析の活用が期待される研究分野は?

シングルセル解析の活用が期待される代表的な分野としては、まずがんの研究や治療薬の開発分野が挙げられるでしょう。正常細胞とがん細胞を一つずつ解析・比較したり、がん細胞ごとに遺伝子を解析できるシングルセル解析は、細胞・遺伝子ごとの不均一性や治療抵抗性の解明、そして新たながん治療薬や治療方法の開発、実臨床に大いに役立てられているのです。

また病気の解明や治療法の開発だけでなく、IPS細胞の分化誘導技術の向上にもシングルセル解析が応用されているため、生物学や再生医療分野においてもさらなる活用が期待できます。

さらに微生物の遺伝子情報を効率的に、大量に取得できることから、未知の部分が多い微生物の生命現象への理解や、酵素遺伝子などの情報を使いさまざまな産業分野で活用することを想定した「バイオものづくり」の研究にも、役立つ技術だと言えるでしょう。

「受託の窓口」はさまざまなシングルセル解析に柔軟に対応

株式会社ミクセルでは、微生物シングルセル解析を活用したいとお考えの研究者様に対し、bit-MAPをご紹介しています。当社からご紹介するbit-MAPは全作業を国内ラボにて実施しており、事前の詳細なお打ち合わせはもちろん、解析中のトラブルや解析結果のご説明に至るまで、微生物ゲノム解析の専門家である研究開発チームが、丁寧に一貫したサポートをさせていただきます。

解析は原則1プレート(384ウェル)から、解析結果のデータ量は20Gbと30Gbから選択いただける仕様となっており、納期の目安は30営業日ほど。対応可能な検体(細菌懸濁液でも可)は大きくヒト由来サンプル、環境由来サンプル、動物由来サンプルの3種類ですが、メニューにないサンプル種や解析細菌数、データ量、シーケンサ機種にも柔軟に対応が可能です。

bit-MAPで解析可能なサンプルの具体例

  • ヒト由来サンプル:糞便、皮膚、唾液、バイオフィルム、組織
  • 環境由来サンプル:土壌、海水、温泉、川水、活性汚泥
  • 動物由来サンプル:糞便、組織、発酵消化液など
  • その他サンプル:培養サンプル、細菌外膜小胞(OMV)など

微生物のシングルセル解析に興味があるけど、試験の設計や有効活用策、研究ゴールの設定について悩んでいるという方は、ぜひ一度、ミクセルの「受託の窓口」までご相談ください。

研究現場のお困りごとは「受託の窓口」へご相談ください

研究現場のお困りごとは「受託の窓口」へご相談ください

株式会社ミクセルは、”日本の文化と技術で長寿を喜び合える社会をつくる”ことを理念として、研究者の夢を未来へ届けるための研究支援事業やヘルスケア事業、日本の医療・介護インフラと世界をつなぐための事業を行っております。

そんな私たちが、研究支援事業として運営する「受託の窓口」では、以下のような研究現場のお困りごとを解決すべく、経験豊富なスタッフ陣が最適な受託サービスをご提案いたします。

  • 研究する上で必要なデータを解析・取得したいが、どうすれば良いかわからない
  • どこに、どんな風に頼めば欲しいデータを得られるのか、必要な予算もわからない
  • 解析を依頼したいサンプル数が少なく、他のプロバイダーに受け付けてもらえない
  • 結果をきちんと解読できるか心配なので、解析後のアフターフォローまでしてほしい

お問合せ、お打ち合わせにはオンラインで対応しておりますので、日本全国どこの研究室からのご依頼にも対応可能です。データの取得や解析、活用方法等についてお困りのことがございましたら、依頼したいアプリケーションをご検討の上、ぜひ「受託の窓口」までお気軽にご相談ください。

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