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要支援1・要支援2・要介護1だと介護ベッドレンタルは介護保険適用外?例外や自費レンタルについて

2025/2/21

介護保険の「福祉用具貸与」の制度を活用すれば、補助を受けながら介護ベッドのレンタルをすることが可能です。ただし、要介護認定の区分によっては、介護保険による補助が受けられないこともあります。

結論からお伝えすると、要介護認定が要支援1・要支援2・要介護1の場合、例外給付に該当する方を除き、介護保険適用での介護ベッドレンタルはできません。

しかし、福祉用具事業者の「自費レンタルサービス」を利用することで、介護保険適用時とほぼ変わらない価格で介護ベッドをレンタルすることが可能です。

この記事では、要支援1~2・要介護1の認定を受けた方が、負担を減らし、介護ベッドをレンタルする方法について解説していきます。

要支援1・要支援2・要介護1の認定だと介護ベッドを介護保険適用でレンタルできないの?

冒頭でお伝えした通り、要支援1・要支援2・要介護1の認定では、介護保険を適用して介護ベッド(特殊寝台)をレンタルすることはできません。(例外については、後ほど記述します)

まず、介護保険を適用するためには、介護・支援の必要性を判定する「要介護認定」を受ける必要があります。要介護認定は、自立(非該当)と要支援1~2、要介護1~5の8区分に分かれており、その区分によって、介護保険が適用されるか否かが判断されます。

そして、「介護ベッドを介護保険適用でレンタルできるかどうか」に関しては、以下のように基準が定められています。

介護ベッド(特殊寝台)レンタルの場合
要支援1 介護保険が適用されない
要支援2
要介護1
要介護2 介護保険が適用される
要介護3
要介護4
要介護5

上記の表からわかる通り、介護保険を適用して介護ベッドレンタルができるのは区分が「要介護2」以上の場合です。要支援1・要支援2・要介護1の場合は対象となりません。

しかし、要介護2以上に該当しない場合でも、介護保険の適用が認められることがあります。その例外については、次の項目で見ていきましょう。

参照記事:「厚生労働省|要介護認定

要支援1・要支援2・要介護1の方が対象となる例外給付について

例外給付とは、「要介護認定の区分により、福祉用具を介護保険適用でレンタルできない方(要支援1〜2・要介護1)に対して行われている支援制度」のこと。

一定の要件を満たす場合に限り、例外的に要支援1〜2や要介護1の方でも、介護保険を適用して介護ベッドなどの福祉用具を借りることが可能になるというものです。

例外給付が対象となる要件(介護ベッドレンタルの場合)

福祉用具貸与の例外給付の要件について、厚生労働省の資料には、以下の通り記載されています。

要支援・要介護1の者(軽度者)に対する以下の種目については、介護保険給付は原則対象外。ただし、厚生労働大臣が定める告示に該当する対象者については、要介護認定における基本調査結果等に基づく判断があった場合や、または、市町村が医師の所見・ケアマネジメントの判断等を書面等で確認の上、要否を判断した場合には、例外的に給付が可能。

引用:「厚生労働省|要支援・要介護1の者に対する福祉用具貸与について

まず、「厚生労働大臣が定める告示に該当する対象者」とは、次のいずれかに該当する方のことを指しています。

【介護ベッド(特殊寝台)レンタルの場合】

状態像 認定調査の結果
日常的に起き上がりが困難な者 基本調査1-3

「3.できない」

日常的に寝返りが困難な者 基本調査1-3

「3.できない」

上記に該当する場合、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントを経て、ケアマネージャーさん等が必要性を判断し、介護保険適用で介護ベッドをレンタルすることが可能です。※市町村への確認依頼は不要

また、平成19年に例外給付運用の一部見直しがされたことにより、認定調査の結果では必要な状態像にあると判断されなかった場合でも、下記条件のいずれかに当てはまる方は、例外給付を受けられるようになりました。

  1. 疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、福祉用具が必要な状態になる
  2. 疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに福祉用具が必要な状態になる
  3. 疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から、福祉用具が必要な状態にあると判断できる

※上記が「①医師の判断に基づき」「②ケアマネジメントでの判断を経て」「③市町村の確認」という手続きを経て判断されていること

上記に該当する場合、例外給付の手続きの手順に関しては、おおよそ以下の通りです。

  1. ケアマネージャーによる確認(上記の1~3の状態像に該当するかどうか)
  2. 医師への確認(医師から医学的所見を得る)
  3. サービス担当者会議の開催(医学的所見に基づき、福祉用具貸与の必要性について検討する)
  4.  「軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付確認申請書」を市町村に提出
  5. 例外給付の可否を市町村からケアマネージャーに通達

基本的には、担当するケアマネージャーさんが例外給付申請の手続きを進めてくれます。

参照記事:「厚生労働省|平成19年4月 軽度者「例外給付」運用の一部見直しについて

例外給付が認められた事例(介護ベッドの場合)

実際にどのような場合に例外給付が認められたのか、社団法人日本福祉用具供給協会の事例集をもとに、一部ご紹介します。

事例① 腰痛があり、日によっては起き上がったり、立ち上がったりすることができないため、2モーターベッドを選定。
事例② 慢性関節リウマチがあり、朝の気張りがひどい。起居困難。肘関節の可動域に制限あり。
事例③ 変形性脊椎症により手足に痺れがあり、とくに天気が悪い日に症状が悪化する。起居動作をスムーズに行うために、背上げ機能の特殊寝台を選定。

参照記事:「社団法人日本福祉用具供給協会|軽度要介護者等における福祉用具利用事例集

※上記はあくまで一例です。例外給付の適否の基準を示すものではないため、状況が類似しているからといって、必ずしも例外給付の対象になるとは限りません。

自費レンタルサービスなら要支援1・要支援2・要介護1の方でも介護ベッドを低価格で利用できる

自費レンタルサービスなら「要支援2」でも介護ベッドを低価格で利用できる

要介護認定が要支援1・要支援2・要介護1の方で例外給付の対象とならなかった場合、どのようにして介護ベッドをレンタルすればよいのでしょうか。

一番おすすめの方法は、福祉用具事業者が提供している自費レンタルサービスを利用することです。この項目では、「介護保険適用時とほぼ同じ価格で介護ベッドをレンタルできる制度」について、解説していきます。

福祉用具事業者の自費レンタルサービスとは?

福祉用具事業者が提供している自費レンタルサービスとは「介護保険適用商品を、介護保険を使わずにレンタルするサービス」のことです。

具体的には、介護ベッドや車椅子、歩行器や歩行補助杖などの介護用品を自費で借りることができます。介護保険は適用されないものの、月々のレンタル料金は、お財布に優しい価格に設定されているパターンが多く見られます。

また、介護ベッドに限っては、ほとんどの福祉用具事業者が「介護保険利用時の自費負担分と同程度の金額でレンタルできるサービス」を提供しています。

自費レンタルサービスで介護ベッドを借りる際の料金

自費レンタルサービスの月額料金は、福祉用具事業者によってさまざまです。これは、「本来の価格の1〜3割負担」と決まっている介護保険適用でのレンタルとは異なるポイントでもあります。

目安としては、介護ベッドの基本セット(本体+マットレス+サイドレール)で、月額2,000円前後です。弊社の「広島介護用品」では、月額1,500円で提供しています。

介護ベッドは安い用品ではないため、購入すると10万~20万円、高いものだと40万円以上の初期費用がかかります。しかし、自費レンタルサービスを利用すれば、費用の負担を押さえて介護ベッドを借りることが可能です。

また、レンタル制であることから「利用者の体の状態に合わせてベッドの種類を変更できる」といったメリットもあります。

関連記事:「介護ベッドのレンタル料金は?介護保険適用・自費レンタル・購入の目安

自費レンタルサービスを利用したい際の流れ

自費レンタルサービスを利用したいときの流れとしては、以下の2パターンがあります。

  1. ケアマネージャーさんに相談し、福祉用具事業者を紹介してもらう
  2. 直接、福祉用具事業者に問い合わせる

担当のケアマネージャーさんがいる場合は、すべてお任せする流れが一般的です。

一方で、「介護保険を持っておらず、担当のケアマネージャーがいない」や「けがなどで一時的に利用したい」などの事情があるときは、直接、福祉用具事業者に問い合わせることも可能です。

要介護認定の区分が変わったらどうなるの?

介護保険適用で介護ベッドをレンタルできる「要介護2」以上に区分が変わった場合も、自費レンタルサービスで借りているベッドはそのまま使うことが可能です。

(体の状態の変化に合わせるため、必要に応じて介護ベッドの種類を変更することも可)

ただし、自費レンタルサービスから介護保険適用でのレンタルに切り替える手続きが必要です。基本的にはケアマネージャーさんが行ってくれます。

要支援1・要支援2・要介護1の方が介護保険適用でレンタルできるもの

要支援1・要支援2・要介護1の方が介護保険適用でレンタルできるもの

ここまでお伝えした通り、例外を除き、要介護認定の区分が「要介護2」以上でないと、介護ベッドを介護保険適用でレンタルすることはできません。しかし、以下の介護用品であれば、要支援1・要支援2・要介護1の方も介護保険適用で借りることが可能です。

  • 手すり(取り付けるときに工事を伴わないもの)
  • スロープ(段差の解消を目的とし、取り付け工事をしないもの)
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 自動排泄処理装置(排便機能のないもの)

※排便機能のあるものは、要介護4以上

ただし、介護用品によっては、細かな条件がついているものもあります。例えば、歩行器や歩行補助杖は、保険適用となる種類が定められています。

もしも、上記の介護用品の必要性を感じた場合は「介護保険適用でレンタルしたい」と、ケアマネージャーさんに相談してみましょう。

関連記事:「【介護用品】手すりはレンタル可能!レンタル手順や費用目安

関連記事:「歩行器の種類まとめ|選び方や介護保険・自費レンタルについても解説

要支援1・要支援2・要介護1の認定で介護ベッドを借りたい際は自費レンタルを検討しよう

要介護認定が要支援1・要支援2・要介護1の場合、介護用品のレンタル補助を受けることはできません。しかし、例外給付の適用となることもあるため、対象となるのかどうか、ケアマネージャーさんに尋ねてみましょう。

また、例外給付を受けられないときに心強いのは、福祉用具事業者が提供している「自費レンタルサービス」です。介護ベッドに関しては、介護保険適用の場合とほぼ同じ月額費でレンタルできる場合が多いため、費用の負担を減らすことが可能です。

自費レンタルサービスを利用したいときは、担当のケアマネージャーさんに相談して、利用する福祉用具事業者の選定や手続きなどをお任せしましょう。

福祉用具の購入・レンタルのご相談は『広島介護用品』へ

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株式会社ミクセルは、“日本の文化と技術で長寿を喜び合える社会をつくる”を事業理念とし、福祉用具の販売・レンタル『広島介護用品』をはじめとするヘルスケア事業や研究支援事業、また海外での介護人材プロジェクトなども行っています。

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