介護ベッドをレンタルするメリット・デメリットは?レンタルと購入それぞれの費用感も比較

介護ベッドを導入するときの選択肢は「レンタル」もしくは「購入」のどちらかです。経済面の負担が少ないのはレンタルですが、「安く利用できる代わりに何かデメリットがあるのでは?」と不安を抱いている方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、介護ベッドをレンタルする際のメリットとデメリットについてご紹介しています。また、購入する場合と比べて、費用がどの程度違うのかも解説します。レンタルと購入、どちらを選ぼうか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
介護ベッドのレンタルとは?
介護ベッドは「高さ調節」「背上げ(リクライニング)」「脚上げ」の三つの機能を兼ね揃えており、利用者がベッドから起き上がったり、立ち上がったりする動作を助けてくれる介護用具。別名では「特殊寝台」とも呼ばれています。
身体状況によっては必要性の高い介護ベッドですが、購入すると費用の負担が大きいことから、以下の方法でレンタルでするパターンが一般的です。
- 介護保険適用でのレンタル
- 自費レンタルサービスの利用
まず、①の介護保険適用でのレンタルは、要介護認定の区分が「要介護2」以上の方が対象です。しかし、区分が「要支援1~2」「要介護1」の方も、身体機能面で必要性が認められる理由があり、医師の意見書が得られれば、介護保険を利用してレンタルできる場合もあります。これを「例外給付」と呼びます。
また、例外給付が認められない場合でも、福祉用具事業者が提供している「自費レンタルサービス」を利用することが可能です。自費レンタルサービスとは、福祉用具事業者が提供している「介護保険適用商品を、介護保険なしでレンタルできるサービス」のこと。介護ベッドに関しては、ほとんどの事業者が、介護保険を適用した場合とほぼ同じ価格に月額料金を設定しています。
このように、介護ベッドは要介護認定の区分にかかわらず、経済面の負担を小さくして借りることが可能であるため、購入よりもレンタルの方が選ばれやすいといった背景があります。
介護ベッドをレンタルする流れ(介護保険適用)や、自費レンタルサービスについては、以下のコラム記事で詳しく解説しています。
関連記事:「介護ベッドの補助金は?レンタル・購入時の自己負担額や介護保険制度の仕組み」
関連記事:「要支援1・要支援2・要介護1だと介護ベッドレンタルは介護保険適用外?例外や自費レンタルについて」
介護ベッドをレンタルするデメリット
介護ベッドをレンタルする場合、どのようなデメリットがあるのかご紹介します。
新品の介護ベッドを利用できない
レンタル品として使われている介護ベッドは、新品ではありません。この点は「一度でも人が寝たベッドは利用したくない」という方にとっては、デメリットとなるでしょう。
しかし、基本的に返却された介護ベッドは、洗浄・除菌処理をしてから次の利用者へと貸し出されます。そのため、衛生面を心配する必要はありません。
とはいえ、レンタル品への感じ方は人によってさまざまかと思います。新品でないことに抵抗感が強い方の場合、精神的な負担がかかってしまう可能性もゼロではありません。そのような懸念があるなら、購入も視野に入れた方がよいでしょう。
汚れや破損に対して気を遣う
汚さないように、壊さないようにと意識しすぎてしまい、精神的に疲れる可能性がある点も、レンタルならではのデメリットです。
たしかに、購入した介護ベッドであれば、マットレスの汚れやベッド本体の破損を気にすることなく利用できるでしょう。とはいえ、レンタルの場合であっても、通常通り利用していて壊れたり、汚れたりしたのであれば、修理費はかからないパターンがほとんどです。
そのため、汚れや破損を気にして、あえてレンタルを避ける必要はないといえます。レンタルした介護ベッドの利用ルール(破損した場合の対応など)については、念のため、契約する前に確認しておきしましょう。
決められた種類の中から選ぶ必要がある
介護ベッドには、デザインや搭載機能の異なるさまざまな商品があります。しかし、レンタルの場合、希望するメーカーの介護ベッドを利用できるとは限りません。また、介護保険適用でのレンタル利用を認められていない介護ベッドも見られます。
このように、すでに用意されている介護ベッド一覧の中から選ばなくてはいけない点は、「絶対に利用したい希望のベッドがある」「部屋のデザインに合うベッドが欲しい」などのこだわりがある方にとっては、デメリットとなり得るでしょう。
介護ベッドをレンタルするメリット
介護ベッドをレンタルするメリットは、大きく3つあります。
経済的な負担を減らすことができる
介護ベッドは、購入するよりもレンタルの方が経済的な負担を減らすことが可能です。
まず、介護ベッドを購入するとなると、最初にまとまった料金が必要です。その上、お金がかかるのは、導入時だけではありません。以下のように、長く使うにつれて、本体料金以外のところで費用が発生する可能性が考えられます。
購入 :本体価格+メンテナンス費+買い替えが必要となったときの費用
レンタル:月額料金のみ
一方で、レンタルの場合は月額料金のみで利用し続けられます。そのため、長い目で見ても、費用面での負担が少ないといえるでしょう。
介護ベッドを購入した場合と、レンタルした場合にかかる具体的な料金については、後の項目で解説します。
体の状況に合わせてアドバイスを受けながら変更できる
介護ベッドを導入後、利用者の体の状態が変わる可能性も考えられます。例としては、「身体機能の変化により、これまで使っていた介護ベッドよりもさらに機能性の高いタイプが必要になる」といったパターンが挙げられます。
介護ベッドを購入してしまった場合、買い替えて対応するしかありません。しかし、レンタルであれば柔軟に借りるベッドを変更できます。
また、ケアマネージャーさんだけでなく、介護ベッドに詳しい福祉用具貸与事業者の担当者にも相談できるため、「今の体に合う介護ベッドの選び方がわからない」という方も安心して、プロに選定をお任せできます。
使わなくなったときに処分する必要がない
介護ベッドはサイズが大きく重量があるため、使用しなくなったときに処分に困ってしまうことがあります。「自治体の粗大ごみの収集に出す」や「ゴミ処理場に持ち込む」などの方法だと、料金がかかることも…。
人気メーカーの介護ベッドであれば、介護用品専門店で買取してもらえるとの情報もありますが、商品や状態によっては買取不可になる可能性も考えられます。
レンタルであれば、借りていた介護ベッドを引き渡すだけでよいため、処分時に頭を悩ませる必要はありません。このような点も、レンタルならではのメリットといえるでしょう。
介護ベッドの費用はレンタルと購入のどちらが高い?
介護ベッドが必要となったとき「レンタルと購入ではどちらが高くつくのか?」という点は気になる疑問の一つかと思います。
結論からお伝えすると、レンタルの方が負担は少なめです。
この項目では、レンタルと購入、それぞれの場合にかかる費用の目安をご紹介します。
介護ベッドを購入する場合
介護ベッドを購入する場合、介護保険は適用とならないため、全額自己負担となります。介護ベッドの価格は商品によって異なりますが、目安としてはおおよそ10万~20万円ほど。人気メーカーであれば、40万円以上することもあります。
安い電動ベッドを購入して介護ベッドとして使うこともできなくはありませんが、おすすめしません。必要な機能が足りず、介護現場のニーズを満たせないことがあるからです。また、安い電動ベッドは安定性に劣ることもあるため、安全面においても不安が残ります。
その他、利用者の身体状況が変わった場合の買い替え費用のことも考えると、介護ベッド購入のデメリットは大きいといえるでしょう。
介護ベッドをレンタルする場合(保険適用)
要介護認定の区分が「要介護2」以上の方が、介護保険適用(自己負担額が1割)でレンタルする場合、料金は月々1,000円前後が目安です。
仮に介護ベッドを20万円で購入する場合と比べると、月額1,000円が20万円を超えるのは、17年目以降となります。利用期間がこの年月よりも短い場合、トータルでかかる金額はレンタルの方が安く済むといえるでしょう。
介護ベッドを自費レンタルする場合
介護ベッドを自費レンタルサービスで借りる場合、月額料金は2,000円前後が目安となります。会社によって価格設定は異なり、弊社「広島介護用品」の場合、レンタル料は月額1,500円です。
この金額を見ると、たとえ介護保険適用外でのレンタルだったとしても、購入に比べて経済面の負担が少ないことがわかります。
関連記事:「介護ベッドのレンタル料金は?介護保険適用・自費レンタル・購入の目安」
【比較表】介護ベッドのレンタルと購入それぞれのメリット・デメリット
介護ベッドのレンタルと購入、それぞれのメリットとデメリットを表にまとめました。
【介護ベッドのレンタル】
費用 | 月額1,000円ほど(介護保険適用) 月額2,000円ほど(自費レンタルサービス) |
---|---|
メリット |
|
デメリット |
|
【介護ベッドの購入】
費用 | 10万~20万ほど 高いものだと40万以上 |
---|---|
メリット |
|
デメリット |
|
上記の表からわかることは、介護ベッドはレンタルの方が購入よりもメリットが多いという点です。費用面だけでなく、利用者の身体の状態に柔軟に合わせられることや、処分の手間がかからない点も嬉しいポイントといえるでしょう。
一方で、購入には、新品を利用できたり、好きな商品を自由に選べたりするなどのメリットがあります。そのため、資金が十分にあり、なおかつ「絶対に未使用品がいい」などの理由がある場合は、購入も検討するとよいでしょう。
しかし、特別な事情がない限りは、購入よりもレンタルでの導入がおすすめです。
関連記事:「【介護用品】介護ベッドはレンタルと購入どちらが良い?ケース別に解説」
介護ベッドのレンタルはデメリットよりもメリットの方が多い
介護ベッドをレンタルする際のデメリットとしては「未使用品を使用できない」や「借りられる商品の種類が限られている」などが挙げられます。
しかし、購入に比べて、かかる費用が安く済む点は大きなメリットのひとつです。介護保険適用外(1割負担の場合)だと月額1,000円前後、自費レンタルの場合でも月額2,000円前後でレンタルできます。また、利用者の体の状態が変わったときに、より合う介護ベッドへと柔軟に変更できる点もレンタルならではのメリットです。
このような点から、介護ベッドのレンタルは、デメリットよりもメリットの方が大きいといえます。これから介護ベッドの導入をお考えであれば、購入に比べて気軽に利用できるレンタル制度を活用してみてはいかがでしょうか。
福祉用具の購入・レンタルのご相談は『広島介護用品』へ
株式会社ミクセルは、“日本の文化と技術で長寿を喜び合える社会をつくる”を事業理念とし、福祉用具の販売・レンタル『広島介護用品』をはじめとするヘルスケア事業や研究支援事業、また海外での介護人材プロジェクトなども行っています。