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歩行器の種類まとめ|選び方や介護保険・自費レンタルについても解説

2024/3/15

加齢によって筋力が低下すると、思うように歩けなくなったり、痛みを伴ったりと、日常生活が不便に感じるようになります。また、移動が億劫になって行動範囲が狭くなることも考えられるでしょう。

このような問題を解決してくれる福祉用具が、歩行器などの歩行補助具です。

歩行器には、自身で持ち上げながら進むタイプや、キャスター付きのタイプなど、身体能力に合わせて様々な種類があります。

今回は歩行器の種類や選び方のポイントについて解説するとともに、介護保険の適用や、介護保険非適用でも費用を抑えてレンタルする方法をご紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。

歩行補助具の役割と種類について

歩行補助具は歩行のサポートと身体の保護を目的とした福祉用具で、利用によって歩行時の安全性や安定性、歩行スピードの向上などを目指します。さらに、歩行補助具は日常生活の行動範囲を広げたり、自立行動を尊重する役割も果たします。

また、歩行補助具には「杖」と「歩行器」の2種類があり、杖は脳卒中などで片麻痺の方や歩行にやや不安がある方、歩行器は杖だけだと歩行に不安がある方や歩行が安定しない方に向いています。また、屋内や近隣の外出には杖、普段の外出や遠出時には歩行器、といった使い分けをされる場合もあります。

歩行器の基本的な機能と目的について

歩行器は前脚2本・後脚2本の計4本の脚があるフレーム構造で、身体全体が支えられるように、身体を取り囲むような形状となっています。

リハビリや歩行訓練で歩行能力を高めたい時だけでなく、日常生活における自立歩行の支援・足腰にかかる負担軽減・転倒防止などの目的でも使用されます。

【歩行器がおすすめの方】

  • 手すりや壁での伝い歩きに不安を感じる
  • 歩行時に膝や腰などに痛みを感じる
  • 杖だと足元がふらついたり躓きやすくなった

歩行器にはどんな種類がある?

歩行器にはどんな種類がある?

歩行器は構造や機能の特性、使用用途から「歩行器」「シルバーカー」の2種類に分けられ、さらに歩行器の中でも車輪付きのものを「歩行車」と呼んでいます。

歩行器とは、屋内外の場所を問わず、安全な歩行を獲得するための歩行補助具です。また、歩行車とは歩行器の前脚、もしくは前脚と後脚に車輪が付いていて、屋内だけでなく屋外での使用も想定された作りとなっており、使用用途や場面によってさまざまなバリエーションのものが用意されています。

一方、シルバーカーとは外出時に荷物を収納したり腰掛けたりする用途もある歩行補助具ですが、歩行器のように歩行時の安定性を考慮したつくりとなっていません。そのため、介護保険における福祉用具として認められていないため、レンタル時に介護保険が適用されない点には注意が必要です。

歩行器の種類と特徴

歩行器の種類と特徴

歩行器は形状や使い方によってさらに複数の種類に分類されます。歩行器のタイプと特徴、向いている人、使い方、注意点について見ていきましょう。

歩行器①:固定型(持ち上げ式/ピックアップ式)

歩行器①:固定型(持ち上げ式/ピックアップ式)

固定型歩行器は持ち上げながら歩行する仕組みの歩行器で、持ち上げ式歩行器やピックアップ式歩行器とも呼ばれています。リハビリや施設などで使用されることの多い歩行器で、4脚でしっかり支えられるので最も安定性に優れています。

固定型歩行器の使用が向いているのは、手すりや歩行器に体重を預けることで歩行が可能な方や、杖での歩行が困難に感じる方、杖への移行に向けたリハビリ・歩行訓練に取り組みたい方です。

固定型歩行器の使い方ですが、両手で歩行器を持ち上げて少しだけ前へ動かし、歩行姿勢を維持しながら前に進めていく動作を繰り返します。

このように固定型歩行器は両手の腕力が必要になるので、片麻痺のある方や腕に力が入りにくい方は不向きで、また、キャスター付きタイプや歩行車と比べると歩行速度が遅く、段差のある場所に適さないため、屋外での使用は難しいと言えるでしょう。

歩行器②:交互型

交互型歩行器は左右のフレームを交互に動かす仕組みの歩行器です。固定型歩行器と交互型歩行器の違いですが、固定型歩行器は持ち上げる際にどうしても脚が接地しない瞬間があるのですが、交互型歩行器は必ず左右どちらかの脚が接地しているため、歩行姿勢が不安定な方でも歩幅に合わせてゆっくり進むことができます。

また、左右のフレームを交互に動かして歩行するため、バランスが取りやすいのもメリットです。

交互型歩行器の使い方については、まず左右どちらかのフレームを前に動かし、動かした反対側の足で前に一歩進みます。左側のフレームを前に動かしたら、右足を前に一歩動かすという具合です。

歩行器③:キャスター付き

歩行器③:キャスター付き

キャスター付き歩行器は、フレームを持ち上げることが困難な方や、腕の筋力が十分でない方に適している歩行器です。さらに、キャスターが付くことによって、素早い移動も可能となります。

キャスター付き歩行器には、二輪タイプ(前輪歩行器)と四輪タイプ(四輪歩行器)の2種類あり、二輪タイプは前脚にのみキャスターが付いているので、ゆっくり歩行されたい方におすすめです。対して四輪タイプは前脚・後脚の全てにキャスターが付いているため、スムーズに移動したい方におすすめとなっています。

ただし、四輪タイプはスムーズに移動ができる一方で、固定型などと比べてコントロールが難しい側面があります。そのため、段差が少なく、安全性が高い環境での使用や、慣れるまでのサポートも重要です。

歩行車の種類と特徴

歩行車の種類と特徴

次に、歩行車の種類について見ていきましょう。

一般的に歩行器の中でも四輪全てに車輪が付いたものを歩行車と呼びますが、キャスター付き歩行器との違いはメーカーや取り扱い店によって若干違いがあり、例えば「ブレーキや足踏みレバーといった速度制限機能を搭載しているもの」を歩行車として定義付けしているケースもあれば、「前脚のみ車輪が付いたものがキャスター付き歩行器、四脚全て車輪が付いるものが歩行車」として扱うケースもあります。

また、歩行器よりも歩行速度が速まるため、屋内に加えて屋外での使用も想定された製品が多い傾向です。

歩行車①:馬蹄型(サークル型)

歩行車①:馬蹄型(サークル型)

馬蹄型歩行車は身体の周りをぐるっと囲む馬蹄型のハンドル形状が特徴の歩行車で、サークル型歩行車とも呼ばれています。馬蹄型のハンドルに前腕を預けることで、足腰への負担を軽減しながら歩行できます。

腕の力が弱くてハンドルを握ることが困難な方や、足腰の力が入りにくい方におすすめの歩行車だと言えるでしょう。なお、このタイプはハンドルに多くの体重を乗せて使うため、非常に頑丈に作られていることから重量があります。そのため、屋外で使用されることはほとんどなく、病院や施設での使用が一般的です。

歩行車②:左右ハンドル型

歩行車②:左右ハンドル型

左右ハンドル型歩行車は、左右のハンドルで方向転換ができる歩行車です。自転車のようにハンドルにブレーキレバーが付いているもので、歩行車として最も一般的なタイプであり、各メーカーから色々な商品が提供されています。

左右ハンドル型歩行車の利用に適した人は、腕の力がありハンドルをしっかり握ることができる方や安定した姿勢を維持したい方で、メリットとしては立ち上がりや移乗がしやすいことと、歩行器についで軽量であるため持ち運びす安いことなどが挙げられます。

歩行車③:腕置き型

歩行車③:腕置き型

腕置き型歩行車は肘置き(アームレスト)が付いた歩行車で、ハンドルを握ることができない方や、関節リウマチで痛みや変形などがある方に適した歩行車となっています。

使い方ですが、肘置きに前腕部を乗せて、体重を前にかけるようにして前進していきます。ブレーキ機能が付いたものもありますので、スピード調整したい方は選ぶ際に機能面もチェックするようにしましょう。

シルバーカーの種類の特徴

シルバーカーの種類の特徴

シルバーカーは歩行器や歩行車と同じく自立歩行が難しい方向けの歩行補助具です。歩行器や歩行車は体重をかけながら歩行できる構造なのに対して、シルバーカーは体重がかけられる構造になっていません。そのため、歩行能力は問題ないものの、歩き続けると疲れや痛みが出てしまう方の外出時の使用に向いています。

このように、シルバーカーは歩行能力をサポートしたり、リハビリや歩行訓練で使用されるものではないので、歩行器・歩行車と比べると歩行補助具としての機能は劣りますが、腰掛けや収納といった機能が付いており、重量も軽く作られているため外出する時などに大変便利ですので、使用するシーンや出歩く長さなどを考慮して使い分けると良いでしょう。

歩行器の選び方のポイント

どれを選べば良い?歩行器の選び方

最後に、どの種類の歩行器を選べば良いのか、おさえておきたいポイントについてご紹介します。

ポイント①:介護保険を適用させるかどうか

歩行器を選ぶ際は、「介護保険を適用させるかどうか」というポイントをおさえておきましょう。

歩行器や介護ベッドといった福祉用具は、介護保険を利用することでレンタル料の自己負担額が1割(所得によって2〜3割)になり、費用を安く抑えることができます。

歩行器の場合、購入すると2万〜3万円、性能が高いものだと5万円以上しますが、介護保険を利用して歩行器をレンタルすると月額200〜300円程度に抑えられるのです。

また、歩行器は身体状況や生活環境によって変更する機会が最も多い用具で、例えば身体機能の低下によりグリップタイプから肘置き型や抑速ブレーキ機能付きのものへの変更が必要となったり、生活環境の変化によりタイヤのサイズや本体の重量を変える必要が生じたりといったケースが多い傾向にあります。

上記のような理由から、歩行器は購入ではなく介護保険を用いたレンタルがお勧めです。

一方、前述の通りシルバーカーは荷物の収納や腰かけのためのものであり、介護保険の対象ではないため、介護保険は適用外となります。ただ、歩行器を購入するよりは安価にお求めいただけますので、レンタルではなく購入を検討されている場合は選択肢として入れても良いかもしれません。

介護用品のレンタル・購入をご検討中の方へ

関連記事:歩行器をレンタルするメリット・デメリットは?介護保険についても紹介

ポイント②:どのような機能が必要か

歩行器を選ぶ時は、「どの程度の運動能力があり、どのような機能が必要か」というポイントも抑えておきましょう。

例えば、歩行器を持ち上げる力がなければ、持ち上げなくても良いキャスター付きのものや歩行車タイプが適していますし、歩くスピードのコントロールが難しいのであれば、抑速ブレーキ機能付きのものが適しています。

介護保険の貸与サービスを利用して歩行器をレンタルする際は、担当のケアマネジャーさんや福祉用具貸与事業者の担当者が、利用者の運動能力を見極めて判断するのでご安心ください。

ポイント③:どこで使用するか

歩行器を利用するシーンは病院や施設、屋外など様々です。そして、屋内か屋外かによって使いやすい歩行器は異なります。

例えば、固定型歩行器は歩行速度が遅くなるため、屋外での使用は現実的ではありません。キャスター付き歩行器も歩行車に比べて車輪が小さいため、路面が平滑でない屋外での使用にはあまり向いていません。一方、買い物や散歩など外出するときに使用したい場合は、休憩や収納もできるシルバーカー、歩行車がおすすめとなります。

ただ、基本的に歩行器自体が段差や坂の多い不安定な場所にあまり向かない補助具ですので、移動する際は平坦な場所を選ぶようにしてください。どうしても段差がある場所を通らなければならない場合は、段差乗り越え機能のついた歩行器も検討してみると良いでしょう。

種類が多すぎて歩行器選びで迷ったら…

今回は、歩行器の種類や選び方のポイントについてご紹介しました。

歩行は生活習慣病や骨粗鬆症の予防、筋力の維持、バランス感覚の向上など、身体に良い影響をもたらすことに加えて、自身の力で生活できるという喜びや生きがいにも繋がります。

私たち『広島介護用品』では、理学療法士のスタッフがケアマネージャーさんとともに介護を受ける方に最適な歩行器の選定を行っているため、一般的な福祉用具事業者以上の専門的な対応が可能です。

また、今回ご紹介した歩行器は全種類取り扱っており、介護保険適用でない方でも自費レンタルサービスにて費用を抑えてレンタルしていただけます。ぜひお気軽にご相談ください。

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