介護ベッドは畳の上にも置ける?注意すべき点と対策

介護ベッドを設置する場所としては、洋室(フローリング)をイメージする方が多いかと思います。しかし、介護ベッドは畳の上にも置くことが可能です。
実際に多くの方が、和室に介護ベッドを置いて使っていらっしゃいます。ただ、畳の上に置くからこその注意点があるのも事実です。
この記事では、介護ベッドを和室に置くときの注意点と対策をお伝えします。また、介護をする上での和室と洋室それぞれのメリットとデメリットもご紹介します。
目次
介護ベッドを畳の上に置くときの注意点と対策
まずは、介護ベッドを畳の上に設置するときの注意点について見ていきましょう。リスクへの対策も合わせてお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
畳に跡がつく可能性がある
洋室の床(フローリング)に比べると、畳は跡がついたり、凹んだりしやすい素材といえます。そして、介護ベッドの重さは、一般的に60〜120kg程度。モーターなどが搭載されていることから、通常のベッドに比べて重量があります。そのため、介護ベッドの脚の部分によって、畳が傷付いてしまう可能性もゼロではありません。
このリスクへの対策としては、介護ベッドの脚よりも一回り大きくカットされたカーペットなどを敷いて、畳が受けるダメージを軽減する方法が挙げられます。
畳の凹み防止用のグッズには、脚カバーや専用の敷きパッドなどさまざまなタイプの商品があるため、利用する介護ベッドに合うものを探してみましょう。
湿気がこもりやすくなる
和室ならではの特徴として、湿気がこもりやすくなる点が挙げられます。
まず、畳には、湿度を調整する力「調湿効果」があります。これは、湿度が高いときには湿気を吸収し、低いときに湿度を吐き出すというものです。
とはいえ、調湿効果にも限界があります。また、畳そのものが湿度に強いというわけではないため、雨の季節にはカビやダニが発生しやすくなります。
とくに、畳の上に介護ベッドなどのものが置いてある状態が続くと、より湿気がこもってしまいます。そのため、介護ベッドを置くときは、衛生面の配慮が必要です。
対策としては「ベッド下の空気をこまめに入れ替える」が挙げられます。介護ベッドには高さを調整する機能が搭載されているため、定期的に最大まで高さを上げて、ベッド下の空気の通りを良くしておきましょう。その際に掃除機をかけることで、より衛生的な環境を保てます。
関連記事:「【介護ベッド】サイズの種類と選び方は?表記方法や高さについても解説」
介護ベッドを動かすときに畳が傷つく恐れがある
部屋のレイアウトの変更や大掃除などにより介護ベッドを動かす必要があるときは、畳に傷がつかないように配慮する必要があります。
例えば、介護ベッドを無理やり引きずって動かせば、畳が痛むリスクが考えられます。
とはいえ、介護ベッドの脚の部分に敷きパッドなどを敷いている場合、常識の範囲内であれば、少し引っ張っただけで大きな傷がつく可能性は低いと思われます。
ただ、慎重になるに越したことはありません。「介護ベッドを移動させるときは一人ではなく複数人でおこなう」などを意識して、畳に傷がつかないように対策しましょう。
介護ベッドを置くのは畳の上と洋室のどちらがいい?
介護ベッドを和室(畳の上)と洋室(フローリング)に置いたときの、メリットとデメリットを表にまとめました。
【和室(畳の上)】
メリット |
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デメリット |
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【洋室(フローリング)】
メリット |
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デメリット |
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和室と洋室それぞれの項目に分けて、より詳しく解説していきます。
介護ベッドを畳の上(和室)に置くメリット・デメリット
和室を介護用のお部屋として使い、畳の上に介護ベッドを置くメリットとしては、「クッション性がある」や「滑りにくい」などの安全面が挙げられます。
畳の材料となっているイ草は、しなやかかつ弾力性のある素材です。衝撃を吸収してくれるため、万が一、人が転倒した際にも、フローリングの床に比べると怪我のリスクは低いといえます。また、そもそもフローリングに比べて、滑りにくい素材であるため、歩行時における安全性にも期待できます。
一方で、畳の性質上、介護ベッドの足跡が残りやすかったり、ベッドの移動時に傷がつきやすかったりする点はデメリットです。その他「フローリングに比べて、ベッド下に湿気がこもりやすい」といった点も気になるポイントです。
上記のようなデメリットに対しては、前の項目でお伝えした対策をしながら、介護ベッドを利用しましょう。
介護ベッドを洋室に置くメリット・デメリット
介護ベッドを洋室(フローリング)に置くメリットとしては、「掃除がしやすい」や「車椅子で移動しやすい」などが挙げられます。仮に飲み物をこぼした場合も、畳に比べると液体が染みこみにくく、さっと拭くだけで対応できます。
また、「車椅子を利用するときに移動しやすい」といった点から、畳からフローリングに住宅を改修する方もいらっしゃいます。
(条件を満たせば、この後に記述する介護保険適用での住宅改修も可能)
ただし、介護ベッドをフローリングの上に置く際は、安全上のデメリットも理解しておきましょう。具体的には「畳に比べて滑りやすいこと」に注意しましょう。とくに、靴下着用時だと、転倒のリスクが高まってしまいます。
とはいえ、フローリングにも床材の種類が複数あり、滑りにくいタイプもあります。もしも、部屋の床を変更するのであれば、このような介護における安全面についても考えながら、どの床材にするか決めましょう。
介護ベッドを置くために介護保険適用で床材を変更することは可能?
介護のために、住宅を改修・リフォームする場合、介護保険を適用できる場合があります。しかし、誰もが対象となるわけではありません。
結論からお伝えすると「介護ベッドを置くために、畳からフローリングに変えたい」といった理由では、保険適用での住宅改修は認められません。
ただし、身体の状態によっては、介護保険適用での住宅改修が認められる場合もあります。そのため、どのような場合に申請できるのか知っておくことは大切といえるでしょう。
介護保険適用での住宅改修の種類
介護保険適用での住宅改修の対象となる種類は以下の通りです。
- 手すりをとりつける
- 段差をなくす
- 滑りの防止、移動をスムーズにするための床もしくは通路面の材料の変更
- 引き戸などへの扉の取り替え
- 洋式便器などへの便器の取り替え
- その他
3に「床材の変更」が含まれていますが、これは滑ってけがをすることを防止したり、移動を円滑にしたりすることを目的とした変更が対象です。
例としては「畳の上では車椅子や歩行器での移動が困難なため、フローリングに替えたい」などが挙げられます。一方、「畳の上に介護ベッドの脚の跡がつくのを防ぎたい」などの理由の場合、介護保険は適用外です。
介護保険適用で住宅改修をする場合の支給限度基準額
介護保険を適用した住宅改修の支給限度基準額は生涯20万円です。このうちの7割~9割(所得によって異なる)が、工事後に給付される仕組みです。
例えば、20万円かかる工事をおこなった場合、最大で18万円(1割負担の場合)が給付されることになります。20万円を超えた工事費用に関しては、全額自己負担です。
ただし、以下に該当する場合は、再度20万円までの支給限度基準が設定されます。
- 要介護状態の区分が重くなったとき(3段階以上)
- 引っ越しした場合
また、支給限度基準額(20万円)の範囲内であれば、複数回に分けて申請することも可能です。例としては「トイレに手すりをつける工事の後に、玄関の段差をなくす工事をする」などが挙げられます。
参照記事:「厚生労働省|介護保険における住宅改修」
介護保険適用で住宅改修をするときの流れ
介護保険適用での住宅改修をするには、手続きが必要です。必ず工事をする前に申請し、対象となるのかどうか市町村に確認してもらわなくてはいけません。
以下に、申請から工事、その後の改修費支給までの流れをまとめましたので、住宅改修をする際の参考にしてください。
- ケアマネージャーさんなどに相談する
- 事業者を選ぶ・見積もり依頼
- 事業者による現場調査
- 市町村に申請する
- 承認後に事業者と契約・工事
- 工事費用の支払い
- 市町村への事後申請
- 市町村から住宅改修費が支給される
介護保険適用での住宅改修に興味がある方は、まずは、ケアマネージャーさんに相談してみましょう。
また、弊社「広島介護用品」でも、リフォームのプロと連携して、介護に適した住宅改修のご提案をしています。広島市内にお住まいで、お困りのことや、相談したいことがございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。
介護ベッドは畳の上でも利用できるが注意点はある
介護ベッドは、洋室だけでなく和室にも設置することが可能です。ただし、畳にベッドの脚の跡がついたり、ベッド下に湿気がこもりやすかったりするなどの注意点があります。
そのため、畳の上に介護ベッドを置くときは、脚の下にカーペットなどを敷いたり、こまめにベッド下の空気を入れ替えたりするなどの対策をしましょう
ちなみに、弊社「広島介護用品」の介護ベッドをご利用いただく場合は、脚の下に敷くカーペットを必ずご用意しております。
また、床がフローリングだったとしても、良い点ばかりではありません。「畳に比べて滑りやすい」という安全上のデメリットも見られます。
上記のことから、介護ベッドを置くときは、和室と洋室それぞれの特徴を理解した上で、安全かつ快適に過ごせる環境へと整えることが重要といえるでしょう。
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株式会社ミクセルは、“日本の文化と技術で長寿を喜び合える社会をつくる”を事業理念とし、福祉用具の販売・レンタル『広島介護用品』をはじめとするヘルスケア事業や研究支援事業、また海外での介護人材プロジェクトなども行っています。