歩行器をレンタルするメリット・デメリットは?介護保険についても紹介
今回は、福祉用具の一つであり、介護ベッドと並んでよく使われる歩行器について、レンタルするメリットとデメリットについてご紹介します。また、歩行器の種類や歩行車・シルバーカーとの違い、介護保険の適用についても詳しく解説していますので、ぜひ歩行器選びの参考にご覧ください。
目次
介護用歩行器の役割と種類について
はじめに、歩行器の役割や特徴、種類、歩行車・シルバーカーとの違いについて見ていきましょう。
歩行器の役割と特徴について
歩行器は、歩行に支障のある方・高齢者が安全かつ自立した生活を送るために利用される福祉用具の一つです。
杖と異なり、数本の脚もしくは車輪で身体を支えてくれるので、腰や膝にかかる負担が軽減され、また歩行姿勢も安定しやすくなります。そのため、主に足腰や股関節に痛みがある方や、筋力が低下している方、または歩行が困難な方におすすめの福祉用具となっています。
歩行器の種類と歩行車・シルバーカーとの違い
歩行器にはまず、歩行器を持ち上げながら前に進む「ピックアップ型(固定式)歩行器」があります。シンプルなフレーム構造であるため軽量で持ち上げやすく、段差などの乗り越えや、踏面が大きければ階段昇降も可能です。持ち手がハンドルになっており、フレームが固定されている一般的なを固定式歩行器と、左右のフレームが個々に動かせるものを交互型歩行器の2種類があります。
一方、ピックアップ型歩行器にキャスターが付いたものも含め、車輪により走行するタイプを「歩行車」と呼びます。ピックアップ型に比べて安定性が高く、身体を支える型式がハンドルタイプと肘置きタイプ(馬蹄型)に大別され、主に利用者の身体状況(身体を支持できる能力の度合い)を考慮して選択します。また、歩行車は非常に種類が豊富で、幅や高さなどサイズだけでなく、重さ、車輪の大きさ、収納バック(カゴ)のサイズ、カラーや柄、休息用の椅子の有無、折りたたみ時の大きさなど、想定される方の体型や身体機能、想定される利用環境、好みに合わせてお選びいただきます。
近年は、坂道がラクに移動できる電動アシスト機能付き歩行器や、下り坂などで自動的に速度が抑えられる抑速ブレーキ機能付き、危険を検知すると自動でブレーキがかかる自動制御機能付き歩行器など、高性能・多機能な歩行器も登場。使用場所や利用者の身体機能に応じて使い分けることが可能です。
なお、歩行時に身体を支えることが役割である歩行器に対して、荷物を載せて楽に歩くことを目的としているものに「シルバーカー」があります。歩行器は「支える」ことが目的であるため歩行器と身体が近くなるように設計されており安定性に優れていますが、シルバーカーは身体を支える構造にはなっていません。一般的な見分け方としては、歩行器のハンドルは「コの字型」になっているのに対し、シルバーカーのハンドルは殆どが横にまっすぐな「一文字」になっています。また、後ほど詳しくご紹介しますが、シルバーカーは介護保険の適用外となるため注意が必要です。
歩行器をレンタルするメリット
次に、歩行器をレンタルするメリットについて見ていきましょう。
介護保険を利用して費用を抑えることが可能
歩行器を、購入ではなくレンタルする大きなメリットの1つが、介護保険を利用することで費用が抑えられる点です。
介護保険制度は、健康保険と同様に加入者が保険料を支払い、介護が必要な方にサービスや補助金などを提供する公的社会保険です。介護保険の対象者は40歳以上で、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳から64歳まで)に分かれます。
介護保険のサービス内容には、歩行器などの福祉用具に関する助成金、手すりの設置など住宅改修への補助金、デイサービスや施設入居サービスなどが含まれ、歩行器の場合、介護保険の利用で自己負担額を1〜3割に抑えることが可能になります。
身体に合わない時は交換が可能
歩行器をレンタルするメリットのもう1つが、購入品と異なり、レンタル品は借り換えが可能なので、身体に合わない時は気軽に交換することができる点です。特に高齢者や要介護度が高い場合は身体状態の変化が頻繁に起きますし、その都度買い替えるのは経済的ではありません。レンタルであれば状況に応じて柔軟に交換や返却が可能なので、金銭的な負担が軽減するのも嬉しいポイントです。
また、歩行器などの福祉用具は定期的なメンテナンスが必要で、購入した場合は、例えば劣化による部品の交換や、不具合が起きた時の修復対応は、基本的に自分達で対応しなければなりません。対してレンタルの場合は、担当者が定期的に訪問して点検を実施してくれますし、不具合などが生じたら修理や交換に対応してくれるのもレンタルする大きなメリットだと言えるでしょう。
歩行器をレンタルするデメリット
歩行器は購入するよりレンタルする方がメリットが多いのですが、一方で、介護保険の適用範囲が限定されていたり、長期間使用するとかえって割高になることもあります。それぞれの事情について、詳しく見ていきましょう。
歩行器の機能が限定される
介護保険が適用される歩行器は介護保険法によって限定されており、介護保険が適用されない機能を持つ歩行器は自費となります。
9 歩行器
歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するものであって、 次のいずれかに該当するものに限る。
一 車輪を有するものにあっては、体の前及び左右を囲む把手等を有するもの
二 四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの
つまり、移動時に体重を支える構造になっていないシルバーカーは、介護保険の対象ではないため介護保険を利用してレンタルすることはできず、購入する必要(業者によっては自費レンタル可能)があります。ただ、歩行器に比べて比較的安価であるため、身体機能面で自立した歩行が可能であれば、シルバーカーを購入して使用するのも手です。
長期間使用すると購入時より割高になる
歩行器を長期間使用する場合、レンタル料金が購入時よりも割高になる可能性があります。
介護保険を利用して歩行器をレンタルする場合の料金は月額200円〜400円程度(負担割合が1割の場合)ですが、購入するとなると3万円〜4万円程度が人気の価格帯で、性能が高いものだと5万円以上します。そのため、同じ歩行器を10年以上使用する予定であれば、レンタル料金が販売価格を上回り、結果として割高になることが考えられます。
ただし、歩行器は身体状況や生活環境によって変更する機会が最も多い用具ですので、購入ではなく介護保険を用いたレンタルを強くお勧めします。具体的な交換タイミングとしては、例えば身体機能の低下によりグリップタイプから前腕支持タイプや抑速ブレーキ機能付きのものへの変更が必要となったり、生活環境の変化によりタイヤのサイズや本体の重量を変える必要が生じたりといったケースが多い傾向にあります。
このような事情から、介護保険が利用できるのであれば購入ではなくレンタルを選択するのがおすすめです。
介護保険を利用して歩行器をレンタルする方法
最後に、介護保険を利用して歩行器をレンタルする方法についてご紹介します。
ステップ①:要介護認定を受ける
介護保険を適用して歩行器をレンタルするには、お住まいの自治体で要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定とは介護サービスの必要度を判断するもので、その結果に基づいて歩行器のレンタル時に助成金が給付されるかどうかが決まります。
要介護認定を受ける流れについては、まず地域の地域包括支援センターで介護に伴って歩行器の必要性が生じた旨を相談します。申請後、自治体から派遣された調査員が自宅などに訪問して、被介護者の健康状態や生活状態、家族の状況などをヒアリング。その調査結果と担当医の意見書などを基に審査会で介護度を判定し、およそ1か月でその結果が通知されます。
ステップ②:ケアプランを作成する
要介護認定を受けたら、次にケアマネジャーとケアプランを作成します。
相談するケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、地域の介護保険担当窓口に相談することで、ケアマネジャーの紹介やケアプランの作成などをサポートしてもらえます。
ステップ③:福祉用具貸与事業者と契約する
介護保険を活用して歩行器をレンタルするには、都道府県によって指定を受けた福祉用具貸与事業者を介して助成金の申請手続きを行う必要があります。インターネットなどで自分でレンタルしたものは介護保険の対象外となるため注意しましょう。
また、福祉用具貸与事業者と契約する際は、ケアマネジャーを通して行うのが通常ですので、自身で事業者を決められた際も、まずはケアマネジャーに相談してください。
私たち『広島介護用品』では、理学療法士のスタッフがケアマネジャーさんとともに介護を受ける方に最適な歩行器の選定を行っているため、一般的な福祉用具事業者以上の専門的な対応が可能です。姿勢や病気、その症状に応じて専門的な知見から動作指導やご家族への介助指導を行っています。
例えば、円背(猫背)の強い方の場合、馬蹄型の歩行器により背筋を伸ばした状態で歩行を行うように指導したり、本来の歩行補助目的に加え姿勢矯正も目指すようなご提案もします。
また、実際に使ってみないと合う・合わないの判断が付かない場合もございますので、こちらでご提案して試していただいた後、合わなければ交換することも可能です。
福祉用具の購入・レンタルのご相談は『広島介護用品』へ
株式会社ミクセルは、“日本の文化と技術で長寿を喜び合える社会をつくる”を事業理念とし、福祉用具の販売・レンタル『広島介護用品』をはじめとするヘルスケア事業や研究支援事業、また海外での介護人材プロジェクトなども行っています。
広島県近郊にお住まいで、介護用具の購入やレンタル、住宅改修をご検討されている方は、ぜひ『広島介護用品』までお気軽にご相談ください。